「久和原アルミ株式会社」(仮名)にできた社内派閥を一掃するにはどうすべきか。回答者 28名の方から 29作の案が集まりました。丹念に読ませていただいた結果、昨日につづいていくつかのご意見をご紹介します。
8.岐阜県 男性、会社経営
筋道として、小さなすれ違い、わだかまり、誤解からその延長線上に派閥という形になってしまってきていると推測します。すれ違いの初めのきっかけまで遡ることはできないかもしれませんので、これからの各部署からの要望を取りまとめて、順番に話しあうことから始めるのは、いかがでしょうか?形の上では、最初は、派閥の長の方たちに、将来の構想(各部署が協力し合っていけている姿)を社長様が順番に一人ずつに話す。 それを少しでも理解してもらったところで、各派閥の長の人が各部下に他部署への要望という形で意見を集約して取りまとめるをする。その意見を社長様がとりまとめて、各派閥長の方に一人ずつローテーションで、意見を参考にして打ち合わせをしていく。時間は、かかると思いますが、何度も何度も地道に粘り強く気持ちを伝えていくことからがいいと思います。このうちあわせをする中で、社長様は、長の人たちの心を見つめていくことが目的になります。実務は長の人たちが具体的に進めてくれる内容なので、あくまでも心がつながるような打ち合わせにもっていくのが目的だと思います。打ち合わせをしていくうちに心がまず、社長様へ開いてくると思いますし、一段階過ぎていけば、派閥長の人たちを集めて打ち合わせをする。その次は一度全体での会議を進めていければ一番いいと思います。人の心が絡む問題と思いますので、心が打ち解けていくための打ち合わせをすることで、解決の道が開ける問題のような気がします。派閥というのは、すれ違いの結果の形であって、その前段階に何かの心のすれ違いが発生していたためにおこった問題と捉えてみると、どこに鍵があるのかのヒントがあるように感じます。ちょうどテレビの番組でいうと、ナインティナインの「ナイナイアンサー」に出てくる「ココロヤジンノスケ」さんのような解決方法に鍵があると感じます。ちいさな会社での運営ですが、わだかまりのない会社が一番進めやすいと感じていますので、言葉足らずではありますが、感じたままにお話しさせて貰いました。 失礼します。
<武沢より>
人としてのあり方、リーダーとしての身の処し方という点で非常に真っ当なご意見だと思います。ありがとうございました。
9.A さん(関東、男性、会社経営)
☆社内派閥を一掃するためには☆
「社長が強くなる」これしか無いですね。大学を中退して 23歳で入社した私は、右も左も分からない中、仕事は営業や工場の手伝いばかり。創業からのベテラン達に囲まれ、教えを請いながら三年程度は過ごしたでしょうか。当然、そこには様々な派閥が存在していましたが、寝食を忘れて仕事に没頭しているうちに全ての業務に精通して自信もできました。「会社の将来を一番考えているのは自分だ」という自負もでき、先輩でも関係なく正論で説き伏せる姿勢で向かいながら、自らを軸に社内を統一したという経緯です。18名の組織であれば、リーダーは一人で十分です。数人が脱落しても良しとして、「会社の責任は社長である私しか取れないのですから、私の指示に従って下さい」というスタンスで、強く臨めば統一できるはずです。仮に分科会が残ったとしても全てに顔を出し、思いを伝え続けましょう。全員と正面から関わることが肝要です。
<武沢より>
まさしく王道を行くご意見だと思います。しかも制限文字数をきちんと意識しておられます。ありがとうございました。
10.Y さん(関東、男性、会社経営)
今回の宿題ですが、私も過去に味わった似たような経験から思うところもあり、参考になればと、メールさせていただきました。以下、私の案です。まず 18人の社員で派閥ができるのは社長がコミュニケーションを疎かにしているのでは?と考えます。まずは、現場のキーマンと会話されては如何でしょう?各社員は、派閥の事実を認識しているので、利点より弊害が多い事、経営トップとして現状を良しとしない想いを素直にぶつけてみては。具体的には各派閥長の腹心(派閥を作るタイプは腹心を置きがち)と、それぞれマンツーマンで会話。次は+社長の 4人で。その次は各派閥のナンバー 2と同じように。まずはその各派閥在籍の 6名に社長の想いを伝え、自ら主宰の定期集会を月 1でも実施し、ダイレクトなコミュニケーションをされてみては。 もちろん、各派閥長に、派閥は無いと言うが、私がトップとして、組織の偏りを感じるのは不健全であり、自ら現場と会話していく事の宣言も重要です。全社員の前でのパフォーマンスも大事ですが、組織が小さいウチは個別のコミュニケーションが重要になると思いますよ。
<武沢より>
サラリーマン時代から 10年来の読者とのこと、ありがとうございます。組織が小さいうちだからこそ個別のダイレクトコミュニケーションを、というご意見、うなづけます。
11.H さん(東京、女性、会社勤務)
まず、社長に専務も交えて 20年後どんな会社になっているか、なにを大切にしているか、とことんイメージを語っていただきます。それを社員に伝え、どのような方法で実現させて行くか手段案を求めます。派閥の会からの提案でも構いません。最後に決めるのは社長。そこさえぶれなければ、派閥の意味はなくなります。
<武沢より>
求心力が分散することが派閥の弊害なので、社長に求心力が集まっている限り、派閥は形骸化するという考え方ですね。一理あると思います。外出先で iPhone からの送信、ありがとうございます。
12.I さん(関東、男性、大企業勤務)
1.すべての派閥の会や懇親会に参加して、話をきいてみましょう。
2.その際に、そのグループの良いところを感想として述べましょう。
3.その後に、別グループの良いところも紹介しましょう。
4.最後に次回の課題として、「致知」などの特集数ページの感想を聴くことを提案しましょう。
5.3ヶ月ほど、別々に参加したところで合同懇親会を提案し、各テーブルでそれぞれの Gr.メンバーが話し合える場を提供し ましょう。
各 Gr.1人でも変化があれば、その人たちに今後の風土創りを考える委員になってもらい、仕事として対応してもらい、組織創りの仕組みとして成果報酬も与えましょう!人は思い込みの動物なので、その思い込みを払拭させることが大切だと思います。
<武沢より>
巨大重電メーカーにお勤めだけあって、小集団活動的なアプローチでのご意見です。ありがとうございました。
13.K さん(北海道、女性?)
派閥の構成員をシャッフルして、営業、製造、総務(あるいは事務)の3グループに分けて、それぞれの立場から策定した経営計画あるいは業務効率化計画をテーマとした社内コンペを実施する。グループのメンバー割は派閥が固まらないよう、また各人の特性を考えて、社長自らが慎重に行う。リーダーはそれぞれの派閥長をあてることにするが、その場合自分の担当外の部署を受け持たせる。これは、一般社員も同様だが、自部署以外の業務をより深く知ることにより、また自派閥以外の社員との交流をもって相互理解することにより、派閥の解消につながることを期待している。ここでもう一つ重要なことは、社長が強力なリーダーシップを示すことである。コンペを実施するにあたって、社長の経営理念を徹底的に語り理解させること。作業進捗に応じて各リーダーには的確な指示を出す姿を社員に印象づけることが肝要である
<武沢より>K さんの場合、400字詰めの原稿用紙一枚に納め、なお
かつ、締切 7分前にきっちり送付してこられました。ご意見も筋が通っていて分かりやすいですね。
14.K さん(会社勤務、男性)
「交代案」
A製造部長と B営業部長を
A営業部長と B製造部長に交代させる。
C派は放置する。
理由>>
そもそもニンゲンが対立するのは相手の立場や意見が理解できないからで、理解できないのは相手が持つ知識や情報を自分が持っていないからです。ならば知識や情報を共有すれば良いのです。手っ取り早く相手の知識や情報を吸収するならチェンジです。立場が 180度変わるのを見れば他の社員はピン!とくるでしょう。
———本文ここまで400文字
たぶん蛇足の補足説明>>
部長職なら、重要なのは管理に必要な基礎知識で、これは部門・業種に関係なく共通しているはず。忠誠心やプライド、実力が本物なら各現場の詳細情報は後付で自習できるはずです。精神論などは二人の部長の内面に任せれば良いのです。だいたい各派閥の名称から会合状況まで情報が漏れてるなんていうのはどういうことでしょう?社長の同志がそこらじゅうに潜んでいる、ということです。「勉強会・懇親会」というのは知識や情報の共有が目的ですから否定する必要はありません。ライバルの勉強会を各部長が主催して、その場で敵方に取り囲まれて、それを味方に引き入れるチャンスくらいに肯定的にモノゴトを解釈できない管理者は要らないでしょう。大河ドラマで黒田官兵衛は小早川隆景をそうやってオトしました。交代ならコストアップも最小限です。他の社員は社長の実力、根性、本気、行動を具体的に目撃し、理解し、ピン!とくる各派の構成員は身の振り方を考えるでしょう。
<武沢より>
政治の派閥長には使えない、企業経営者だから使える大胆な一手を進言していただきました。お見事です。
15.K さん(東京、男性、会社経営)
以下、「私だったらこうする」と思うところを申し上げます。私が思うに社員を一人でも雇用する以上、何があってもその社員と家族を守ると言う意識で経営をしなければならないと考えています。そうすると、この問題はいたって単純な事になると思われます。久和原アルミに関する原稿を読む限り、派閥長自体は会社を盛り立てようとしている。だとしら、私なら派閥長を全員一同に集め、一喝します。
ライバル心は大いに結構。我が社でも店長同士、料理長同士ライバル心はあります。どんな組織でも、部下は目の前の上司の顔色を見るのは当たり前ですし、そうでなければ会社はまわりません!
そんな当社でも、長い事同じポジションに居させると派閥らしきものが自然発生します。ですから、社長権限において多少無理にでも人事異動をおこないます。必要を感じれば、期の途中であってもお構いなしに異動させます。それは、中小企業のオーナー経営者として最終的に会社と社員を守れるのは社長だけだという自負心からのことです。社長の決定と言うのは必ず会社全体を見て行っています。当然、社長も万能ではありません。間違えることもあるでしょう。その時は新たな決定をしてまた進めば良いだけです。
社長は覚悟を決めて派閥長に最終宣告するだけで良いのです。懸命な社員ならば、それだけで退職する事は無いと考えます。なぜなら、久和原アルミの両部長は 55歳で会社のためを思い、社長寄りで仕事をしています。社長の覚悟と志しをみせれば、いたって簡単なことだと思います。わたし自身もそう言う気持ちで毎月の社長塾や飲みにケーションを開催しています。正直言って大変です。管理職が社長開催の勉強会に毎回来るとは限りません。切ない気持ちになった事も数え切れないくらいあります。それでもなお、社長は進まなければならないのです。社員を雇用すると言う事はそれくらいの責任を持つと言う事だとわたしは考えています。以上、私ならこうするでした。拙い文章で失礼いたしました。
<武沢より>
相撲で鍛えた人当たりの強さと覚悟、それに腹をくくった方ならではの言い回しは説得力充分ですね。ありがとうございました。